創立1 2 年目を迎えた理数インターは、「これからの10年」を見据えて、新たな教育改革に取り組んでいます。その柱のひとつが新教科『理数インター』です。ここでは既存の教科書は使いません。サイエンス教育、ICT教育、グローバル教育の要素を入れ、専門教科の異なる教員によるチーム・ティーチングを行います。生徒たちは、答えのない問いに対して、どうアプローチしていくのか、という過程を大切にした学びを体感できるのです。この教科のために用意された教室ではiPadを使って、各人の発想や思考がより自由に生まれるような環境を整えています。授業中の生徒は自由に発言し、自分の表現したことがみんなに受け入れられ、形になることで自己肯定感を高めます。生徒同士で意外な長所を見つけたり、「この生徒はこんな考えを持っているんだ」などの発見があります。
2 0 2 0 年度以降、大学受験のシステムが変わり、国公立大学、難関大学は小論文や面接はもちろん、思考力や発想力を求めてくる可能性があります。それを踏まえて、この授業で深めたい要素は「理数的思考力に基づくコミュニケーション力と自由な発想を表現するプレゼンテーション力」です。私たちは授業の中で「答えはない。あなたの思ったこと、言葉にしたことがベストである」と伝えます。その結果、生徒たちは互いの発想や思考を交差させ、コラボレーションを通してものごとを創りあげる面白さを体感します。単純な回答を求める画一的な授業では生まれない思考や発想に出会い、驚く瞬間に見せる生徒の表情は輝いています。受け身ではなく自分で求めて探していく力を育む。それが将来の進路も含めて、生徒の未来を切り開きます。「学校で一番楽しみな授業は『理数インター』」。生徒のそんな気持ちが自然と伝わってくる授業をクリエイトするべく、教員一同がコラボレーションをしながら邁進しています。
英語は「表現」の手法の一つです。目、耳、口、身体を用いて浸透するまで刷り込みます。だから反復練習重視です。また、進度が速ければよいわけではありません。深度(掘り下げることも)大切にしています。
「進度の速さ≠学力の伸長」です。深度のある骨太な英語を育てるため、中学1、2年では基本を徹底して学びます。英語の授業は週7時間あり、日本人教員が5時間、ネイティブ教員が1時間、英語フォローが1時間あります。フォローは2人の教員が担当し、生徒一人ひとりの学習状態を確認。取りこぼしなく学習させ、ボトムアップをはかります。中学3年までの間に、検定教科書の内容はすべて暗唱し、英検三級を取得します。1年で根を張り、2年で幹を作り、3年で年輪を増やすのです。
中学生は教科書をすべて覚えるように指導します。授業中、みんなの前で覚えた英語を暗唱するので、毎回が生徒にとってのチャレンジです。また授業が始まると、席から立ち上がって身体を動かしたり、音を聞いて反応するなど、座学はほとんどありません。授業中もゲーム的要素を入れて、挑戦する気持ちを出していく。失敗を楽しみ、チャレンジし続けることで、気がついたら英語が身についている。それが理数インターの英語の授業です。
中学2年になると「好きな季節を述べなさい」などのテーマが出され、英語で自分の意見を言う授業が増えてきます。日本語なら起承転結ですが、最初に結論を出し、あとから理由を述べるのが英語の議論方法。普段の授業でこれらを身につけ、人に伝えていく力を育む一方、他の人が語ることにたいして「ここはいい」「ここは、こういう言い方をした方がいいのでは」などと、客観的にものごとを見て判断するクリティカルな能力を高めていきます。
教科書に出てくる物語の結末を考えたり、与えられたキャラクターで物語を作るなど、知識として得た英語を使って、新たなものを生み出すクリエイティブな授業を行います。中学2年になると中1の生徒のための授業用ノートを作成。自分が理解したことをノートにまとめ、後輩に伝えるという作業は、その子ならではの表現力が求められます。クラス担任に英語で年賀状を書くのも恒例の宿題。作品は学校に掲示され、大勢の人に見てもらえます。
生徒たちにとって、大きなチャレンジであり、同時に楽しみの場でもあるのが英語プレゼンテーションコンテストです。
中学1年から高校1年までの全員が、まずクラスの中で英語プレゼンテーションを行います。英語をよどみなく話すのはもちろんのこと、発表の仕方、言葉や間合いなどもポイントです。一方的に自分のことを話すのではなく、聞き手を引きつけ、しっかりと主張することを学び、将来、パフォーマーとして世界に出て行くための基礎を作っていきます。
そしてクラスから選抜された生徒たちは、360度客席に取り囲まれたステージに立ち、プレゼンテーションを行います。大勢の人の前に立ち、身体を使って話し、表現することは大きなチャレンジです。聞き手の生徒たちが投票を行うので、結果がはっきりと見え、失敗すると悔しく、成功すると嬉しい。そのメリハリある経験の積み重ねが、高校2年生の時に行うアメリカ研修旅行での発表に繋がっていくのです。また投票集計時間の間に行う、教科『理数インター』×英語科で行うskit(小劇)は英語プレゼンテーションコンテストの盛り上がりを倍増させます。
生徒一人ひとりが自ら考え、自主的に将来を切り開いていけるよう、6年間のステージマップを設定。
成長とともに変わっていく生徒の状況に合わせて、全教員がきめ細やかな「支援」を行います。
心と体が大きく成長する13歳から18歳までの6年間は、発育段階に応じた教育が重要です。1~2年生の間は「基礎定着期」。理想的な学習習慣・生活習慣を身につけ、チーム・理数インターの一員としての行動力を養います。3~4年は「意識改革期」。検証と考察を通して、自分なりのまとめができ、社会への視野が広まります。5~6年は「自己実現期」。大人に頼らず、自ら考えて行動し、課題解決型の自主学習を身につけます。ステージマップを通じたサポートで、生徒たちは無理なく、自分らしい将来像を描き、希望する進路を現実のものにしていきます。
基礎定着期(中1・2)
あらゆる面で基礎をしっかり固める時期。情報や指示をきちんと受け取って行動することが目標です。規律なくしてこの後の自律はありません。
意識改革期(中3・高1)
これまでとは意識を変えて自主的な側面に移行していく時期。与えられた情報や指示にとどまらず、自分で考えて行動することが目標です。規律を緩めるのではなく、言われなくてもわかるようになります。
自己実現期(高2・高3)
目標に向かってそれぞれ自分の課題を認識して取り組む時期。他のものに依存することなく、自分の目的のための手段を考えて行動することが目標です。内発的な自分の目標と客観性のある長期的な学習計画で受験への対策を立てます。
夢を実現するたくましさ、ゆるぎない自信
6年後の可能性を現実にする
授業の時間を有意義に過ごすために欠かせないツールがマイウェイ(学習記録帳)です。自分の学習の目標設定とその達成度を記録することで、学習の様子を客観的に見ることができ、自己管理能力が高まります。教員による日々の確認とアドバイスを通じて、学校や家庭での学習の道しるべとなります。
担任や教科担当がカンファレンス(成績会議)を行い、「何が出来て何が出来ないか」「今、生徒に必要なことは何か」等を分析・共有します。その内容を生徒とのコーチングによってサポートします。
※コーチングとは、一般的な面談とは異なり、どうすべきかを自分で気づくように促し、自発的な行動を誘発することを目的としたコミュニケーションです
「理数インター12期⽣へ ご卒業おめでとうございます。⾃⼰ベストの更新を⽬指して健闘したみなさんを誇りに思います。
みなさん。これからも、⼀⼈ひとりの進む道を⽀援したいと思います。いつでもホームカミングして来てください。
それが、⺟校というものです。待っていますよ。
在校⽣の皆さん、次は皆さんの番です!期待していますよ」
校⻑ 富⼠晴英