校長blog第96回「高校オーストラリア研修旅行の振り返り(1)」
6月初旬に、A・B班に分かれ、5泊6日で、行ってきました。
高校生活最後の研修旅行です。
週末にファームステイ2連泊、現地高校との交流、もちろん班別自主研修等、盛りだくさんの旅行でした。
さて、気になる参加生徒の満足度は?
そして、今後の課題は?
何回かにわたり、情報公開しながら、現状と展望を考えてみたいと思います。
1回目は、教頭の對馬さんから、生徒満足度調査の結果分析です。
校長 富士晴英
『嘘みたいなI love you〜ホンモノの英語とは』
先日帰国した高校 2年生の5泊6日のオーストラリア、シドニー研修旅行。
満足度を5点満点で生徒たちに回答してもらいました。
======================
メインイベントの1つであるファームステイ4.6
同年代の高校生との学校交流4.0
自分たちで選んだコース別研修4.6
======================
全体の満足度は平均4.6と極めて高いものでした。実りある研修であったことが読み取れます。
一方で、「英語で意思疎通ができたか」という問いの自己評価は、平均2.8という結果でした。
巷ではよく「学校の英語は通じない、これがホンモノの英語だ」という言説が飛び交うことがありますが、私はその議論に違和感を覚えます。
私たちが学校で指導している英語は、世界で広く使われている正しい土台(グローバル・スタンダード)だからです。
そもそもホンモノの英語ってなんだろう。
本研修のメインイベントでもあるファームステイでお世話になったファミリーへのお別れ会の話です。
生徒代表のひとりが、ファミリーに向かってスピーチの最後にこう言いました。
“I love you.”
私の好きな曲に、宇多田ヒカルの『嘘みたいな I love you』という曲があります。
私たちが教科書で習うこの英単語3語は、ただの「愛しています」という記号です。
しかし、現実の社会でこれが使われるとき、そこには教科書の直訳からはみ出した、生々しいほどの文脈や感情のグラデーションが宿ります。
それは、感謝、親愛、信頼、別れの寂しさです。
そうしたさまざまな感情が重なり合ったとき、口にする言葉です。
日本で暮らす多感な高2の生徒たちが、日本語で「愛してる」と伝えることは、正直ないでしょう。
日本語には、相手との関係性を縛り付ける強い「重力」があるからです(いいすぎかもしれませんが)。
しかし、英語は違います。
別の生徒が言った「日本語では言えないことでも、英語なら言える気がする。」という言葉がすべてを物語っています。
外国語を話すとき、私たちは日本語のしがらみから切り離され、少しだけ大胆な「別の自分」になれる。
あのとき代表生徒が口にしたのは、教科書通りの記号ではなく、英語だからこそ言えた、生々しい文脈の乗った本音でした。
それこそが、まさに「嘘みたいな I love you.」です。
本当に価値のある英語とは、スピードや訛りといった表面的な形式ではなく、ネイティブのような発音ができることでもなく、
「日本語では言えないことを英語で伝えられるようになる力」なのではないでしょうか。
自己評価「2.8」というデータは、高2の生徒たちが学校で学んだ標準英語をベースに持ちながら、現地で「日本語では言えない感情」を、
英語という新しいインターフェースを通じて表出させようと格闘した確かな軌跡だと信じています。
教頭・英語科主任 對馬洋介
