本来ならば、今週から通常の授業が再開されていたかもしれなかったが、世の中の状況はそれを許してくれなかった。当面の間、休校措置は延長とせざるを得ず、今のところその終わりは見えない。それどころか未だいつ、だれが罹患してもおかしくない状況に変わりはない。君たちや君たちの家族の安全を切に願う。また、ご家族の中には医療活動に従事され、最前線で災禍を食い止めようと努力されている方や、社会インフラの維持のために献身されている方もおられるかもしれない。心から御礼申し上げたい。そんななかで君たちは、社会が一日でも早く平常を取り戻すために自分のすべきことを全うして欲しい。
具体的に言えば、本校も今週から本格的にオンライン学習をスタートする。これまでの復習を中心とした周辺的な学習から、新学年のカリキュラムに沿った学習へと移行する。我々もその準備を進めている。その授業に誠心誠意取り組んで欲しい。
とは言うものの、対面式の授業とは勝手が異なり、準備をしていても限界を感じることが少なからずある。不慣れな器材を使って、覚えたてのソフトを試行錯誤しながら悪戦苦闘している先生もいる。かく言う自分もその一人だ。しかし、こうした状況だからこそ何か新しい手段を模索し、チャレンジしてみようとする姿勢は、どの先生にも共通だ。そして、こうした状況だけれども、決して君たちに不利益を被らせないように、授業の質を落とさないようにという考えも共通だ。
言い訳がましくなるが、慣れるまでは色々なトラブルもあると思う。多少のストレスは覚悟して欲しい。むしろ我々のチャレンジを温かい目で見守り、それを楽しむくらいの余裕を持っていてくれれば有り難い。対面授業と違い質問対応も難儀だが、互いの創意工夫で乗り切ろう。さまざまな手段を使ってコミュニケーションを図っていこう。家庭のネット環境やパソコン環境が不十分だという場合は遠慮なく申し出て欲しい。そのことによる格差が生じないよう、学校は全力でサポートする。
最後に6年生へ。
再び君たちにメッセージを送る。本当ならばこの時期、体育祭や部活の引退試合などの行事で気持ちの区切りをつけ、受験勉強への踏み台とするはずだったことが全てできなくなってしまった。恐らくやり場のない悔しさで一杯なはずだ。その心残りをどういう形で燃焼させられるかについても、顧問や学年の先生方と話を進めているところだ。学校再開の暁には、あらためて君たちとも相談したいと思う。
また、来たるべき受験に対する不安もあるだろう。先日の実力テストの採点答案を返送したが、模試についても自宅受験ができるように手配を進めている。それらの結果を共有したうえでカンファレンスを行い、君たちへ速やかにフィードバックする。いまは自分の勉強計画に従って学習を進めて欲しい。周りの仲間の姿が見えない分、ストレスのはけ口もなくつらいだろうが、君たちを見守る応援団は少なくない。いまは学校を離れているが、高1のときに担任団の一人だった数学のK先生もその一人だ。先日電話で話したときには君たちへの思いを一時間半に渡って語ってくれた。『こういうときだからこそ創意工夫を。きっと強くなりますよ。』その言葉を併せて伝えたい。
(英語科・右田邦雄)