本校では毎年、5学年の修了式の翌日を新6学年初日と位置づけ、新クラス・新担任を発表して学年開きを行います。春休み中の進路支援を円滑に行うための配慮です。
今年はウィルス騒動の渦中でしたが、昨日、5年生のみの特別登校日を設け、実施しました。
3週間ぶりに再会した生徒たちに、私が冒頭で語ったことばです。
『本来学校にいる時間に家でTVをつけると、連日ワイドショーが喧しい。にわか専門家がしたり顔で致死率がどうの、という話を繰り返す。ああいった話は、われわれの注意を喚起するという点では有効だが、必要以上に心配をかき立てたり、恐怖心を煽るようでは逆効果。自粛ではなく萎縮させてしまう。文字通り、経済活動が縮小し、結局はその打撃は家庭に及ぼされ、一人ひとりの生活が困窮する。いま試されているのは、われわれのメディアリテラシーである。
同様のことが受験リテラシーでも言える。高3を迎える君たちには、多くの情報が寄せられているはずだ。塾や予備校からのひっきりなしの案内。先輩や友だちからの情報。それらと正しく付き合っていくことが大事。必要以上に不安になったり、焦ることはない。そうなると、結局は自分の勉強に悪影響を及ぼすことになる。今日、学年開きをする目的のひとつはそこにある。1日も早く、学年は君たちとコーチングを始め、信頼に足る情報を伝えていきたい。
その根底には学校と君たちとの信頼関係が不可欠だ。君たちから信頼される関係を築いていきたい。そのためには相互努力が必要である。われわれも努力する。
君たちには、さきに学年末考査を配信し、自己採点結果を返送するように求めた。得点や出来具合を確認したいという意図もあったが、最も注視していたのは「どれくらいフィードバックがあるか」、である。こちらの真剣なオファーに対し、果たしてどれだけの生徒がそれに応えてくれるのか。それこそが教員の通知表である。互いの信頼関係の第一歩はそこからだ。怠慢を理由に未提出の者は、いまからでも速やかに提出すること。
新学期には新しい授業が、新しい授業担当者とともに始まる。ただし、君たちは自分で自分の勉強のコーチを選ぶことが大切である。必ずしも授業担当者でなくてもよい。自分に適した主治医を選ぶことだ。それが自律した学習者になる第一歩である。』
(高等部教頭・右田邦雄)