今年の中学体育祭は、新入生の学年種目を上級生がプロデュースしました。種目は、手作りの段ボールキャタピラを使用してのキャタピラリレーです。キャタピラリレーとは、筒状のキャタピラを段ボールで作り、中に入った運転者が手と足を使い前進します。前が見えないので、サポートするナビゲーターも必要です。これを各クラスリレー方式で競います。
今回、発案者でもあり体育祭準備委員から関わってくれた3年生、Aさん、Sさん、Hさんの三人にインタビューしました。話を聞いてみると、クラスごとにキャタピラを作成する所から、プロデュースの狙いがあった様です。
ーーーまず最初に、キャタピラリレーを発案した経緯を教えて下さい。
Aさん「体育祭は、1年生にとって入学して最初の学校行事なので、クラスの団結を深める為に、種目の準備から協力して作業できるものはないかと考えました。そこで考えたのが、段ボールを使って作るキャタピラリレーです。準備では、物を作るのが得意な人や、イラストを書く人が得意な人に活躍の場があって、競技では、キャタピラの運転者とナビゲーターとペアで競技するので、協力して競技ができればクラスの皆んなに活躍の場がある種目になるかなと。最終的には、宝仙祭、合唱祭と行事が続くので、体育祭をきっかけに団結を深められる時間を増やせたら良いなという事です。」
ーーー前年度の1月から準備を開始しましたが、1年生が入学する前にどの様な準備をしましたか。
Sさん「競技の進行方法や、詳細なルールを考える所からスタートしました。その次に実際に自分達で道具を作成して競技をやってみる、といった順番で新年度を迎える前に一通りの準備をしておきました。」
ーーー道具の準備とは?
Hさん「まずキャタピラ作りに使う段ボールの調達です。2年生の職場体験でお世話になった近所のスーパーの方々に協力して頂き、放課後の時間を使って段ボールを調達しに行きました。試作機を数台作成して、その後はひたすらテスト走行ですね。」
ーーーテスト走行とは?
Hさん「グラウンドの脇や体育館、校舎内の廊下を一本使って、休み時間にひたすら疾走しました。色んな身長の人に乗ってもらったりして感想を聞いたり、どのくらいのサイズにすれば走りやすいか、耐久性はどうかなど、50回以上はテスト走行したと思います。そのテストの結果を元に、このサイズで作成すれば走りやすいといったガイドラインも決めました。」
ーーーまだ見ぬ1年生のために涙ぐましい努力があったのですね。1年生が入学後はどの様にプロジェクトを進行させたのですか?
Sさん「内容は固まっていたので、後はキャタピラリレーの目的、ルールと、作業内容を1年生にきちんと説明することに一番気を使いました。あと、7クラス分の段ボール集めですね。1年生を外出させるのはハードルが高いので、キャタピラに使える段ボールを選んで、他の3年生にも手伝ってもらい70枚程集めました。準備が整った所で1年生の学年集会にお邪魔して実践動画の映像を交えて説明をしました。
ーーーその後直ぐにクラスの準備が始まりましたね。紆余曲折あり、体育祭当日を迎えた訳ですが、キャタピラリレーの1年生の反応はいかがでしたか?
Hさん「競技中にキャタピラが壊れてしまったクラスもあったりして、ちょっとビックリしたけど、最後まで頑張ってくれたので良かったと思います。とにかく楽しそうに競技してくれていたのが本当に嬉しかったです。」
Aさん「ナビゲーターも夢中になって声を張り上げていたしね。」
Sさん「左!左!!とか指示がすごく飛び交っていて良かったよね。」
ーーーこのキャタピラリレーを振り返って苦労した点はどんな事ですか?
Sさん「自分達で考えていた事を、1年生に伝達して、形にする事の難しさです。出来上ったキャタピラを見て、これは幅が大きすぎるな・・・とか、後で修正してもらった事もあったりして、その点は反省点です。」
ーーー上手くいったなと思う事は?
Aさん「とにかく楽しんで競技してくれたという点です。ルールを理解してくれて、クラスごとにオリジナリティ溢れるキャタピラを作ってくれたりして、私達がこうなって欲しいなと思っていた事を実現してくれた事です。」
Sさん「1年生が頑張って作ったキャタピラが素敵でした!部活の後輩ともキャタピラの話をする事があって仲が深まりました。やって良かったなと思います。」
ーーー三人の思いが通じたキャタピラリレーでしたね。最後に、発案者として今思う事を話して下さい。
Hさん「体育祭の力になれて、本当に良かったと思います。皆が楽しそうで本当に良かったです。」
Sさん「同じクラスだったこの3人で、2年生から頑張って取り組んで良かったと思います。揉め事もあったけど、乗り越えました!」
Aさん「今思うと、準備量がとても多く大変でした。最後に思うことは、協力してくれた皆さんに感謝の気持ちで一杯です。一生懸命取り組んでくれた1年生、実践動画に参加協力してくれた3年生、何度も無理を言ってしまったのですが、快く段ボールを譲って下さったライフ、オリンピック、マツモトキヨシのお店の方々にも感謝しています。皆さんと協力してキャタピラリレーを成功させる事が出来て、私達も楽しかったです。2年生の後輩達も次の体育祭でオリジナルな競技を考えて、この取り組みが宝仙学園の伝統になれば良いなと思います。もちろん、先生方にも感謝です!」