BFF…それは、15期生だけに伝わる魔法の言葉。その言葉が令和6年の1月に甦りました。BFF(正しくはB.F.F.)とは、Best Friend Foreverの略です。「ベスト・フレンド・フォーエバー」とは? 2年前に時計を巻き戻してみましょう。
2年前、15期生の第1学年は、まだコロナ禍が学校生活に影を落としていたのでした。夏の林間学校は中止になりましたし、体育祭と文化祭も限定的な形での開催でした。オンライン授業の在宅期間が長く続いた時期もありましたし、合唱祭も復活しませんでした。
そんな苦境にあって、せめて学年の皆で体験を共にする機会を作りたいとの思いから、担任団と生徒たちとで手作りしたのが、BFFと名づけられた学年のレクリエーション大会だったのです。BFFの命名は、生徒たちによるものでした。あの時私たち担任団は、その名を聞いて「ベスト・フレンド・フォーエバーなんて大げさじゃない?」とか「クラス替えがあるだけで、学年が別れ別れになるわけじゃないのにね」といぶかしく思ったものです。
でも、子どもたちはきっとこう言いたかったのです。登校が限定的だったり、ステイホームが求められたり、学校行事が満足に行えなかったり…。困難だらけの日々だったからこそ、そこでようやく結ばれた友情には永遠の価値があるのだ、と。その絆を皆で実感するための時間が2年前の3月のBFFだったということです。あの日は暑いくらいの良い天気で、宝探しやらPK合戦やら全員リレーやらで一生懸命遊んだあと、グラウンドでみんなでお弁当を広げて食べたのでした。
あれから2年が経って…。
昨年末、2学期の終業式のあとだったと思います。一人の生徒が私のところに来て言いました。
「先生、またBFFみたいなことやりませんか?」
「BFF?」
「一年の時やったでしょ。あれ卒業の前にもう一度やりませんか?」
BFFのことなんか忘れていましたから、ハッと胸を突かれた思いになりました。
「そうかあ。ここでBFFが甦るのか…。だったら今度はホントのBFFだ」心の中でそう思いました。Best Friend Forever…。今こそがその時ではないか。
それで担任団で相談して、急遽1月20日(土)に実施することに決めて、合唱祭が終わったあとの数日を使って大急ぎで行事の準備をしました。そして前日19日(金)の放課後のこと。委員たちが準備をしている教室に様子を見に行ってみました。すると、委員の女子生徒の一人がこう言うのです。
「先生、もう私たちだけで大丈夫ですよ。だから、先生は職員室にいてください」と。
こんなセリフを生徒から聞けたら、もう学年主任としては本望です。だってこれまでお題目のようにして生徒たちに伝えてきた「自律」の精神が、生徒の生きた言葉として発露しているのですから。多分これを言った当人は、特段の意識もなく述べたものでしょう。だからこその〝生きた言葉〟。
「あ~あ、生徒から良い言葉を聞いちゃったなあ。そりゃあ、あと2ヶ月で卒業なんだもんなあ。やっぱり成長してるんだよなあ」。そう独りごちたことでした。
迎えたBFFの当日。まずは講堂に一同に会してクイズ大会から始まり、七つの教室に移動してフルーツバスケット。20分ほど教室で大騒ぎをしたら、いよいよ最終コーナー。体育館に全員が移動して、クラス対抗借り物競走となりました。先生たちまで借り出されて全力疾走(誰もケガしなくてよかった)。一レースだけでは満足できなかったのか、延長戦でもう一レース。最初から最後まで委員生徒が運営する自治行事は大いに盛り上がってフィナーレを迎えたのです。
こうして中学卒業の日が一日一日近づいてきます。改めてそんな実感の湧いてくる真冬の一日でありました。
3年学年主任