こんにちは。
宝仙学園国語科の勝見です。
12/13(木)に「文楽鑑賞教室」へ行ってきました。
参加生徒は13名。中学1年生から高校2年生までの希望者が北千住にあるシアター1010に集まりました。
演目は世話物の「傾城恋飛脚」です。
義理人情を主題とする演目で、なかなか中高生には難しいかな…と思っていましたが、生徒たちは真剣に鑑賞していました。
双眼鏡を構えて演者の動きを一生懸命に眼で追っている生徒の姿もありました。
「傾城恋飛脚」は悲しい物語です。
孫右衛門は公金横領という罪を犯した息子・忠兵衛(とその恋人・梅川)を自宅に匿います。
しかし、罪人を匿ったとなれば孫右衛門も罪に問われてしまうので、互いに面と向かって再会を喜ぶことができません。
実の親子でありながら、互いに言葉を交わすことのできない悲哀。
そして、追っ手がやってきます。孫右衛門は、忠兵衛と今生の別れを告げなければなりません(公金横領は死罪)。
しかし、自分の息子はたとえ罪を犯していても愛しい。恋人の梅川の計らいで、最後の場面で親子は対面します。
(孫右衛門)「お金に困っていたのなら、なんでももっと早く言わなんだ……。
愛する息子のためならば、愛する息子のためならば、なんとでもしてやることができたのに……。」(意訳)
「義理と人情を秤にかけりゃ、義理が重たい」この世間。
世間の論理と対立する親子の愛。
人生の悲哀を描く「芸術」を観たあとの充実感がありました。
しかし、物語の筋以上に私が「面白い!」と思ったのは、演者(人形)の躍動感です。登場人物は感情を全身で表現します。泣き、怒り、悲しみ、、、
それらの感情を抑制の効いた身体で表現します。着物の袖をつまみながら泣き、傘を差して観客に顔を隠すことで悔やむに悔やみきれない息子の運命に悲しむ。
人形の身体であるがゆえに逆に人物の感情がより身体性を伴って立ち現れる逆説。
文楽って面白いな、と思いました。
今回の鑑賞をきっかけに、「芸術」への興味関心を持ってくれた生徒が増えたら嬉しいと思います。
今回、参加してくれた生徒のうち4年A組の竹村さんが感想を書いてくれました。
文楽鑑賞教室の感想
4年A組 竹村奈々花
今回初めて文楽を鑑賞しました。
人形のまるで人間のような、繊細かつリアルな動きや息遣いに魅了されました。
それも人形遣いの三人の方が生み出す一体感によるものだと思います。
また、太夫の語りや三味線は、老若男女の心情や物語の背景などを躍動的に表現しており、物語の世界に引き込まれました。
私自身、お神楽をやらせて頂くことがあるため、人形の足や手のきめ細やかな動きは勉強になりました。
機会があれば、もう一度ゆっくり鑑賞したいです。