富士校長からご説明があったように、今回、中国から15人の高校生が宝仙学園にやってきました。
数年前は、「きっと教員側で話題とか用意しないと、会話が続かないのではないか」と心配して、剣玉やカルタといった遊び道具を用意して、お出迎えをしたことがあります。
またある年は、教員サイドが肩に力が入り過ぎて、「日中の高校生で社会問題の討論をする、日中サミットをやろう」と息巻いていたこともありました。
しかし今のところ、毎年毎年、大人たちの心配事は杞憂に終わっております。
なにせ、宝仙学園の生徒たちの「人懐っこさ」や(無軌道な)「行動力」は天下一品で、「国境」なんてものともしないのですから。
「好きなアーティストは誰」だの「今ハマっているゲームは何」だの、あげく「好きな人はいるの?」といった恋バナまで、あちらこちらで自由気ままに交流を展開してくれます。
それを眺めている側はドキドキしているのですが、当人たちはリラックスして楽しんでくれているようです。
とはいえ、楽しさに全振りしているわけではなく、「学び」の観点からも交流も行っております。
今回は、中国の学生たちと一緒に(東京大学の)「漢文の入試問題」に挑戦しました。
さすが、中国の学生たちは「漢字」への見識が高いようで、本校の生徒たちは彼ら彼女らに色々とアドバイスをもらいながら、現代語訳に悪戦苦闘していました。
なお、本校の生徒らが一番驚いていたのは、「流暢な日本語」でアドバイスをくれる中国の学生たちの語学力のようでした(彼らは語学学校に通い、「外国語」として日本語を学んでいるそうです)。
ある学生は「来年、自分が修学旅行でオーストラリアに行ったときに、現地の人と英語であんなに会話できる自信がないです……」とこぼしていましたが、それを聞いた時に「今回の交流は、生徒らにとって良い刺激になったな」と、勝手ながら思ったものです。
「同世代の頑張る人」ほど、自分をやる気にさせてくれる存在はなかなかないですから。
現在の日中関係は、残念ながら「憂いなし」とは言えない状況かもしれませんが、これからの未来を担う日中の学生たちが和気藹々と協力し合う姿は、とても心強いものでした。
(SNSには功罪がありますが)「国境を越えたつながり」が持ちやすくなった今日のこの頃、今回の出会いが、彼らの未来を明るく豊かにしていってくれることを願うばかりです。