5月16日(月)の講演会から早いもので10日が過ぎました。子どもたちにふりかえりを行ってもらったので、今回はそのことについて触れたいと思います。中学1年生から高校3年生まで…どのようなふりかえりをしてくれるのだろうと思いながらひとりひとりのふりかえりに目を通しました。その中でも特に多かった「2つの想い」について、ふりかえりの原文を引用しつつ、ここに紹介したいと思います。
〔 1 「知る」ことについて 〕
ニュースや新聞を通して、ウクライナが置かれている状況について知っているという生徒がほとんどですが、ヴィクトリアさんのお話や、見せてくださった映像から、「ここまでひどいのか…」という印象を抱いた生徒が多かったようです。また、ヴィクトリアさんの家族のお話から、ソ連(スターリン)時代の国内の状況が透けて見えたので、「知らなかった…」「教科書にはここまでは書いていなかった」というような言葉も見られました。
【生徒のふりかえり➀】
『いろんな人がこの現状を知ることが大切だと思った』
『ウクライナで起こっていることを自分と関係の無いこととしないで、しっかり捉えて自分なりに考えていくことが大切だと思いました』
『もっと国際社会について学びたいと思った。将来の進路について考えるきっかけになった』
『のらりくらりとやってきた学生生活を変えようと思った』
今回の講演会で「知る」ことができたからこそ、「次」へと考えが及んだり、「今」を見つめ直したりということができるのだと思います。『意識が変わると考え方が変わる。考え方が変わると行動が変わる。行動が変わると人生/運命が変わる』というような言葉もありますが、子どもたちの中に起こった小さな変化が、今後大きなモノになっていくことを楽しみに待ちたいと思います。
〔 2 「差別」について 〕
ヴィクトリアさんが生まれや出身を理由に差別を受けたことがあるというご自身の体験を話してくださいました。その後の質疑応答では「人種差別はどうやったらなくなるか」という質問に対し、「私が人種差別を止める答えを持っていたらみんなハッピーに暮らすことができている」と非常にシンプルかつ重い言葉を返してくださいました。そして、「オープンな気持ちを持って人に接することが大切」「世界の色々な場所を旅して様々な文化や人々を知ってほしい」「私たちはひとつ」といった力強いメッセージをくださいました。
【生徒のふりかえり➁】
『「差別」は本の中ぐらいでしか経験したことがなかったから、現実にあって少し怖かった』
『人をしっかり知らないと駄目だなと思った』
『クラスの中で多様性を認めて相手と上手く付き合っていきたい』
人種差別を含め差別というものを自分事として捉えるということがなかなか難しいという生徒が少なくない中、まずはお互いを「理解」すること、「知る」ことというシンプルな答えにたどりついた生徒もまた少なくない印象でした。自分ができることを、自分のできる範囲でやってみようという想いを持ち、それを行動に移してくれる生徒がひとりでも多く出てきてくれることを願っています。
【生徒のふりかえり➂】
『今生きている環境がいつ変わるかわからないから毎日大切に生きようと思った』
『明日が当たり前に来ると思うのではなく1日1日を大切にしようと思いました』
最終的にこのような想いを持ってくれる生徒が出てきてくれたということに大きな喜びを感じています。今回『知的で開放的な広場』に集う生徒の新たな一面を知っていただけたのであれば幸いです。
宝仙学園中学校・高等学校
教諭 齋藤 雄大
※ 齋藤教諭とは・・・
今回の本校企画担当者。中学1年生から高校3年生までのすべての学年の担任や学年主任を経験。
世界史教諭。板書に手書きする地図がお見事。(校長 富士晴英)