先週から高1生の英語の講座学習がスタートしました。これは希望生徒を対象に、普段の授業とはちょっと違う切り口で英語を楽しもうというものです。英語を読むためのトレーニングに不可欠な知識を学ぶのですが、使われる英文はことわざや著名人の言葉をはじめ、ジョークや街角の落書きに至るまで古今東西の至言・名言・迷言を集めました。構文を理解するだけでなく、そこに述べられている偉人や市井の人たちの思想や本音、人生訓を味わおうというものです。
Rome was not built in a day.(ローマは一日にしてならず)は余りに有名な諺ですが、だれかがそれに …, but it was burnt in a day. (しかしそれは一日にして焼け落ちた)と付け加えました。それだけで、いかに偉大なものでも儚く崩れてしまう、という盛者必衰の理を表すメッセージに早変わりします。
An apple a day keeps the doctor away.(一日一つのリンゴで医者いらず)これも英語圏ではよく知られたことわざで、リンゴの効用を説く、生活から生まれた民衆の知恵です。日本語でも「柿が赤くなれば医者が蒼くなる」と言ったりしますが、生徒は知らないでしょうか。
このことわざをもじって、An onion a day keeps everybody away. ということば遊びもあります。玉ねぎを毎日食べると口臭のせいでみんなが逃げていく、という意味です。こんなウィットに富んだことばは街に溢れています。
第1回目のクラスではこんなクイズを出しました。( ) のなかに入れる適語を考える問題です。
“How long a minute is depends on which side of a ( ) door you are on.”
この問題を考えるには、まずきちんと問題文の主語を把握する必要があります。’how long a minute is’(1分はどれくらい長いか)が主語であることは、その後に’depend’ という動詞があることから分ります。A depend on B. とは、AがBに依存する、つまりAの状況はBによって変わってくる、という意味で用いられる動詞です。そうするとこの文は「1分の長さは ( ) のドアのどちら側にいるかで変わってくる」という意味になります。
あれこれ頭をひねり、「これは誰もが日常経験することだよ」というヒントを与えた後で、生徒は見事正解を答えました。答えはa bathroom door(トイレのドア)です。
主語を把握するとか、動詞の語法とか、無味乾燥になりがちな学習に「頭の体操」を加え、柔軟な発想をしてみようという試みです。柔軟な発想こそが論理的思考力を生む力ではないか、と思うからです。 (英語科・右田邦雄)