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学期の終わりに

2020/8/10

 いつもより長い一学期が終わり、いつもより短い夏休みが始まりました。この数ヶ月間は今までの教員生活の中でも初めて、という経験の連続でした。なかでも授業をオンラインで行うという試みは、学校の授業とは何かということを再認識するきっかけになった気がします。

 休校期間が開け、対面授業が再開したときに実感したことはどの先生たちも同じです。「やっぱり授業は目の前に生徒たちがいなければならない。」

 オンライン期間中、世間ではそれを前向きに捉える意見も多く見られました。「オンライン学習はこれからの新しい学習のスタイルをつくる」、「学習の効率化や教育の均質化が図れる」、云々。正鵠を射るものもありましたが、中には「優秀な教師一人の授業を全国で同様に視聴すればよい」というような教育評論家の極論もありました。

 選択肢の中から正解を選ぶ問題の答え合わせであれば、オンラインによる一斉授業は効率的です。しかし、教室の授業では、ときに意外な生徒からの意外な発言に教室が湧くことがあります。一見頓珍漢なAさんの発言に教室の空気が和み、普段は英語が苦手なBくんが発する意表を突いた質問に一同がどよめき、理論派のCさんの意見にやり込められたDくんが言った破れかぶれの意見に賛同が集まったり、先生をたじたじにするような鋭い質問をぶつける帰国子女のEさんの姿に教室が刺激を受けたり。

 おそらく一度でもこのような経験をしたならば、上述のような意見が一面的であることに気づくでしょう。いや、我々こそこのことに改めて気づいたのだと思います。

 授業は単なる情報伝達の場ではありません。当たり前の話ですが、人と人が互いに刺激を受けあい、ともに学び成長する場です。だから教室には生徒と先生がいなければいけないのです。

 なんとか授業再開にこぎ着けた1学期でしたが、いつまたオンラインに戻らねばならない状況になるかもしれません。しかし、これまでの経験を経た2度目はきっと1度目とはひと味違うものになるはずです。

 2学期はその備えをしながらの試行が続きます。

                                                                                                                                                                                    (副校長・右田邦雄)

 

 

 

 

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