昨日は高校の卒業式。
179名の高校三年生が巣立っていきました。
三年生の述べた答辞を簡単に紹介したいと思います。
それは希望に満ちた高一から始まり、生徒会長選挙落選の悲しみ、二年時のアメリカで過ごした友人たちとの楽しい時間。
思い描いていた以上の受験勉強の大変さと思い通りにいかない受験、その結果誰にも会いたくもない、話したくもない時期があったこと等、
彼女は自分のエピソードも交えながら三年間を振り返ります。
さらに、その辛い時に支えとなったのは友人であったこと、想像を絶する受験の辛さの中で支えてくれたのは先生たちであったこと、
受験は結果ではなく人生の通過点しかないこと、そして何があっても常に自分の味方であったのは保護者であったこと、と続きました。
校長も式辞の中で、我々は周りの人々に生かされている、と述べていました。
彼女もまた人は一人では生きているわけではないことに気がつき、自分と関わった人への感謝の気持ちで答辞は終わります。
すごく彼女の真面目さと彼女の心の成長が伝わる心に染み入る素敵な答辞でした。彼女のことを知る人は「彼女らしい」答辞だった、と言うことでしょう。
私は彼女のことは知りませんので、答辞からの推測にしかすぎませんが、
「君の短所は?」と問いたら恐らく「真面目すぎる」「抱え込んでしまう」という返答があるかもしれません。
ところで君の答えは何だろう。
「せっかち」「神経質」「すぐ流される」答えはいろいろあるかも知れませんが、比較的誰でも簡単に回答できるのではないでしょうか。
一方「君の長所は何ですか。」この問いを中高生にすると、経験上「特にない」「わからない」「考えたことがない」という回答が実に多い。
長所を伸ばすことはとても大切なのに…と思います。
自分の長所を理解する、伸ばすことは「自分を知ること」であり、「自分らしさ」を発揮することになると思うからです。
自分自身を減点法で捉える癖は、先天的に身についている自己防衛システムとも言われています。
このため、パッと短所は出てきます。だから意識的に加点法で自分を表現することが大切になります。
そして、これは後天的に身につけるスキルであるため、訓練が必要です。
方法は簡単です。短所は長所として言い換えれば、良いのです。
例えば、上記の短所はそれぞれ「決断力がある」、「几帳面である」、「協調性がある」と言えば良いのです。
開幕中のパラリンピックの男子パラアイスホッケーチームの平均年齢は実に42歳。
試合前の記者会見でキャプテンの須藤選手は「平均年齢の高さを自分たちは気にしていない。
その分、経験が豊富で、ゲームをコントロールすることができる」と述べていました。
選手達は年齢というハンデをものともせず、むしろプラスに捉えています。
短所と長所は表裏一体。長所のない人は誰もいないということです。見つけ方を知れば良いのです。
短所を知ることで、長所も知る。そして「君らしさ」を存分に発揮して、あと約1820日を過ごして欲しい。
そして君たちもきっと昨日卒業した先輩たちのように立派になることでしょう。
パラリンピックのパラは元々“paraplegia(下半身麻痺)”が由来ですが、今では“parallel(平行する、もう一つの)”の意味となっています。
残りの五年間で、先輩と同じように、君たちも苦悩することもあるはず。
でも安心してください。
君たちの先輩が昨日語ったように、君たちの周りには常に「並走」するたくさんの仲間と大人がいますから。
中1 学年主任 對馬 洋介