突然ですが、質問です。
1ヶ月前の朝食は何でしたか?
2週間前の昼食は何でしたか?
3日前の夕食は何でしたか?
記録でもつけていない限り、恐らく誰一人正確に答えられないことだと思います。言えることは、「(美味しく、集中して)食べた」ではないでしょうか。
さて生徒や保護者から聞かれるよくある質問です。
「授業を真面目に集中して聞いてさえいれば、成績は上がるのでしょうか。」
「残念ながら、それだけでは上がりません。」が答えです。
そもそも学力をつけるための必須条件が、「授業は真面目に集中して聞く」ことです。よって成績を上げるためには、聞 く必要はあります。授業が大切なのは間違いないのです。
しかしながら、冒頭の質問のように、どんなに美味しく食べたご飯でも忘れてしまうのが人間なのです。それは授業で習ったことにも通じます。習ったことは何もしなければ忘れてしまうのでは、せっかく学校で頑張った時間も労力も無駄になります。
「学校で頑張ったから、家では何もしなくていい」のではなく、むしろ「学校で頑張ったからこそ、学習習慣を持っていなければいけない」のです。
学校での努力を無駄にしないためにも、帰宅後に勉強する学習習慣を身につけることで、学力がつき、結果的に成績が上がるようになるのです。
家庭学習習慣を身につけるには、
「決まった時間に机に向かう」や「帰宅後すぐに課題をやる」等『行動面』におけるルーティン化(お約束)することがあげられます。
他にも『時間面』の3・3・3の法則。
まずは3日頑張る。次に3週間。その次は3ヶ月。3ヶ月継続できたら次は1年。そこまでいけばもう安心です。中学・高校も3年間です。大学の受験勉強も問題ありません。
「生活の整理整頓」がスタートです。今すぐに始めて欲しいと思います。
原稿を書いていたら、私が中1の時に国語の授業で学んだ『あの坂をのぼれば』 杉みき子(「小さな町の風景」所収)という話を思い出しました。紹介します。
「あの坂をのぼれば海が見える」と祖母からいつも聞かされていた少年はある日山にのぼります。いくつもの坂を越え、はうようにしてのぼってきた坂の頂から見えたのは、果てしなく続くのぼりくだりの坂の繰り返しでした。
「もうやめよう」うめくようにつぶやく少年。ため息をつくと生き物の声が聞こえてきます。そして頭上を見るとそこには「翼の長い、真っ白な大きな鳥」、海鳥が一羽現れ、峠を超えていきます。さらに少年の目の前を、蝶のようにひらひらと、白いものが舞い落ちてきます。
手の平をすぼめて受けとめると、それは、雪のようなひとひらの羽毛だったのです。
「ただ一片の羽根だけれど、それはたちまち少年の心に、白い大きな翼となって羽ばたいた。」のです。少年は力を込めてつぶやきます。「あの坂をのぼれば海が見える。」「必ず海に行きつくことができる、行きついてみせる」。
「あの坂をのぼれば海が見える」というフレーズが大好きでした。
「変われない」のではなく、「変わらない」という決断を自分でしていませんか。
試してみて、初めて見える景色が広がるはずです。
《学習における3つの「や」》
1. 『やる気』これがないと何事も始まりません。
2. 『やり方』これが間違っていれば、やる気はあっても成果はなかなか得られません。
3. 『やり続ける』
やる気もある、やり方も知っている。でも継続しないと意味はないのです。
中1 学年主任 對馬 洋介