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東大入試のメッセージ

2017/2/27

今年の問題も随所に「東大らしさ」が感じられた良問ぞろいだったと思う。「東大らしさ」とは一言でいえば、知識の量だけではなく、それを自分の頭で考え、使える「アクティブな知識」になっているかを問う問題ということである。典型的な問題が、大問5(小説文)にでてきた、’that’s as far as it goes’ という箇所の和訳問題。受験生の頭には当然 ‘as far as ~’ = ~である限り、という「公式」が頭に浮かぶが、この箇所はいくら公式を駆使しても理解はできない。なぜなら、as far as ~ は、~と同じだけ遠くに、という意味だから、as far as it goesは、それが行くことのできるのと同じだけ遠い距離、つまりそのことが及ぶ限界値を示しているだけである。このように東大の問題には公式を公式として丸暗記していると大ケガをする仕掛けが用意されている。言い換えれば、物事の理屈をキチンと理解して覚えているか、を問うているのである。そのようにして得た知識と丸暗記して得た知識は全く質が違う。理屈がわかっていることは、多少条件が変わった環境でも応用が利く。それに対し、丸暗記した知識は硬直化しており、応用が利かない。最初に述べた「アクティブな知識」とは前者を指すことは言うまでもない。

 英作文で示された「大富豪の遺産を有効活用する術を述べよ」というお題は、アメリカのハーバード大やイエール大といった名門校がエッセイのお題として使うものと共通している。(因みに昨年度のイエール大のエッセイトピックのひとつは、’You have been granted a free weekend next month. How will you spend it?’ というものだった)ここでは、正解のない問いに対し、いかに柔軟に思考し、それを論理的に伝えられるか、という能力が問われているのである。

 このように見てくると、東大の問題からは大学が受験生にどのようなチカラを求めているか、ということが明確に見えてくる。自らの体験とアクティブな知識を活用し、正解のない問いに柔軟に対応しうる人材、である。それは即ち、いまの社会が求めるチカラに他ならない。

 このような東大の発信するメッセージを正面から受け止め、それに刺激され、興味を持ち、果敢に挑む生徒が現れることを私も楽しみにしている。

                                                     (高等部教頭 英語科 右田邦雄)

2017東京大学前期日程入試問題(英語)(YOMIURI ONLINEより)

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