16日(金)なかのZERO大ホールにて、中学生の伝統行事である第15回合唱祭をおこないました。
実は、個人的には、合唱曲の詩というものを初見したときに、そのテンションにたじろいでしまうという癖が、いまだに残っているのですが、生徒たちがさまざまな葛藤を経てであろう、思い切りをして、真剣に歌っている姿とハーモニーを聴くと、わが身の小心さを反省するとともに、中学生というこれから未来を創っていく存在は、こうであるのが頼もしい、とあらためて、深く思い直します。
わたしのことはさておき、「合唱祭は、やっぱりいい!」というのが、実感のすべてです。
それでは、本校音楽教諭の先生方、あらためて、この行事についてのコメントをいただきたいと思います。
富士晴英
【感動と学びの一日】
16日(金)なかのZERO大ホールで開催された宝仙学園中学校の合唱祭は、たくさんの笑顔や涙とともに幕を閉じました。
このイベントは、中学生たちが3学期という総決算の時期に、日々の努力と練習の成果を発揮する重要な機会であり、今年も多くの感動と学びが詰まった素晴らしい一日となりました。
例年、金銀銅の3つの賞と学年賞が1つずつ、さらに指揮者賞と伴奏者賞が3つずつ用意されています。
今年の合唱祭では、3年A組が見事に金賞を受賞しました。彼らの努力と熱意が実を結び、観客の皆さんからも大きな拍手が送られました。
また、2年C組が銀賞、2年D組が銅賞に輝きました。2年生はどのクラスも迫力があり、金賞を目指す本気度が異次元で熱い思いが伝わってきたと審査員の先生もおっしゃっていました。
特筆すべきは、1年生の学年賞に同点でE組とF組が選ばれたことです。この結果は、1年生全体のこれからの伸び幅が大きいことを物語っています。
3年A組の金賞受賞にはいくつかの要因があったと思われます。
彼らはクラスで悩んだ末に、合唱のために作られた曲へと練習スタート後に変更し、他クラスより練習が遅れてしまいましたが、最終的にその選択が功を奏したと思います。
J-POPのアレンジ曲も魅力的ではありますが、合唱用に作られた曲とは異なり、聴き映えや演奏難易度の面でハードルが高いのです。そのため、3年A組の選択が大きな成果をもたらしたと言えるでしょう。
また、早朝からクラスで集まって密かに努力を重ねていたことや、複数の音楽教員たちに個別に質問や指導を受けに行き、問題を解決しようとした姿勢が報われたと言えます。
そして派手な演出に頼らない丁寧な演奏、つまり「リズム」「ハーモニー」「発声」といった基礎的なことが、合唱のクオリティを評価するうえで欠かせないポイントであることを再確認させてくれました。
もちろん、勝者がいるということは、その何倍もの敗者がいることを忘れてはなりません。
審査結果に疑問や不満を抱くこともあるかもしれませんが、それがコンクールというものでもあります。
今回は4名のプロの演奏家の審査員に依頼し、さまざまな観点から評価していただきました。近日中に審査員コメントが各クラスに掲示される予定です。
1、2年生の皆さんは、自分たちのこれまでの努力や演奏に真摯に向き合い、来年の合唱祭に向けて糧を得てさらに頑張ってほしいと思います。
何よりも宝仙学園の合唱祭の素晴らしいところは、その「熱量」、つまり意気込みです。
「しらけた雰囲気」や「他人任せ」でよそよそしいムードが蔓延して崩壊するようなことはなく、色々な問題が起きても少しずつお互いに成長し合い、最後には立派に舞台に立ってそれぞれの力を発揮しようとする素直さに毎年心打たれます。
だからこそ、今回流された嬉し涙も悔し涙も全て嘘偽りない本物であり、とても美しいと思いました。
学校はとても素敵な場所です。なぜなら人が成長を目指して努力する姿は最も美しく、それが毎日見られる場所だからです。
机の上の勉強だけでなく様々な行事や活動を通じ、あっという間に、そして驚くような姿に生徒たちは成長していきます。
本校の合唱祭は、まさに生徒たちの成長と努力を感じることのできる、とても素晴らしいイベントです。来年の合唱祭も今から楽しみです。
音楽科教諭