3月3日は女子部の卒業式でしたね。ふだん皆さんとは接点がありませんが、当日はホールの片隅から皆さんの門出をお祝いさせていただきました。
卒業生へのメッセージ、というとおこがましいのですが、学期ごとに配布される読書レビュー『筆まかせ』の今学期号に、皆さんのことを思いながら一冊の本を紹介させてもらいました。すでに卒業された皆さんが今号の『筆まかせ』を手にすることはないと思い、発行前ではありますが以下に引用します。
『フィンランド語は猫の言葉』(稲垣美晴・著 角川文庫)
イギリスは英、アメリカは米、フランスは仏。ではフィンランドは?
今回のレビューは、とくに楽しみにしていたフィンランド研修が中止となってしまった女子部の皆さんへ。旅行のお手伝いをさせてもらうなかで、いま日本で手に入るフィンランド関連の本にはほとんど目を通しましたが(といってもまだまだ数が少ないのが実情です)、そのうちの一冊を皆さんにプレゼントします。
筆者はいまから半世紀も前に単身フィンランド留学をします。いま以上に情報のない時代です。フィンランド語の習得に苦労し、試験に追われ、必死にレポートを書き上げる姿を通し、フィンランド語という未知の言語、そしてことばの魅力を伝えてくれます。(英語では名詞は単数・複数の変化しかないが、フィンランド語ではこれが15変化すると聞くだけで苦労が偲ばれます)
とはいえこれは語学書ではなくエッセー集なので、フィンランドの生活に触れた話が面白い。サウナでの赤裸々な話、森と湖とシナモンロールをこよなく愛するフィン人の生活。真冬に外気を吸い込んだときの鼻の感覚だけで気温をあてる「マイナスごっこ」。
私はほんの数日しか滞在したことのないこの国ですが、また行ってみたいと(できれば真冬に)思わせてくれる一冊でした。冒頭の問いの答えですが、「芬」と書くそうです。去年行けなかった女子部の皆さんに一読を勧めます。きっと将来、リベンジ旅行で渡芬したくなりますよ。ご卒業おめでとうございます! (共学部・日芬友好会副理事・右田邦雄)