最近の世相を反映することわざを一つあげるとすれば、『口は禍のもと』。
英語では “Out of the mouth comes evil.” 聖書のことば、『口にはいるものは人を汚すことはない。かえって口から出るものが人を汚すのである』(マタイ15:11)を由来とすることば。
さて、ところ変わればことばが変わる、というわけで、いくつかの国の言い方を紹介すると…
『口は禍への扉、舌は身を切る刀』(中国)
『投げた石とことばは返ってこない。』(メキシコ)
『ことばと羽根は、風で遠くへ運ばれる。』(ルーマニア)
『おまえの口はおまえの虎』(インドネシア)
『口を開く前に7回舌を裏返しなさい。』(フランス)
『閉じた口には蠅は入ってこない。』(スペイン)
そしてモンゴルのことわざでは、
『逃げる馬を捕まえることは容易、口を滑らせれば取返しがつかぬ。』
いずれも今回の一件を思うときに、言い得て妙です。
(ことわざ研究家 右田邦雄)