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#67 The Hill We Climb

2021/1/23

 20日に行われたバイデン大統領就任式。レディー・ガガの国歌独唱も圧巻だったが、それ以上に耳目を集めたのがアマンダ・ゴーマン (Amanda Gorman) という女性詩人の朗読だった。

 ケネディ大領領の就任式以来、著名な詩人が式に招かれるという慣習があるようだが(トランプのときは招かれなかった)、今回は若干22歳の黒人女性。これまでで最年少である。シングルマザーの家庭に育ち、幼少期には吃音と聴覚障害にも苦しんだという。

 『一日の始まりに我々は自問する。この終わりのない闇のどこに光を見出だせるのか、と。』

  When day comes, we ask ourselves ’where can we find light in this never-ending darkness?’

 大統領選挙を通し、国が分断された感のあるアメリカの姿を”The Hill We Climb” と題した詩の冒頭で憂いつつ、こう続けた。

 『しかし夜を乗り越え、いま夜明けが訪れた。我々の国は崩壊しているのではなく、単に未完成であるだけだ。』

  The dawn is ours before we knew it.  Somehow we do it.  Somehow we’ve weathered and witnessed a nation that isn’t broken, but simply unfinished.

 リズムを生むことばの選択であったり、韻を踏む音の響きが美しく、力強い。メッセージは約5分間に及び、最後にこう締めくくった。

 『光はいつもそこにある。われわれが勇気をもってそれを見ようとするならば。そして、われわれが勇気をもってそれになろうとするならば。』

  For there is always light, if only we’re brave enough to see it.  If only we’re brave enough to be it.

 私が最も印象に残ったのは次のことばだった。

 We will rebuild, reconcile, and recover. (この国は再建され、和合し、回復へ向かうだろう。)

 rebuild, reconcile, recover とリズミカルに‘re-‘の音で頭韻を踏んでみせたが、’r’ の発音は彼女が幼いときに吃音でもっとも苦しんだ音だという。

(英語科 右田邦雄)

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