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凱風快晴(校長with広報室blog)第76回「緊急読書宣言!」第3号

2020/5/4

みんな?自分らしく過ごしているかい?
第3号は、「コーチング特集」です。
「知的で開放的な広場」での、教員の役割は、コーチだと考えています。
もちろん、プレイヤーは生徒です。
人は、自分で気づくことによって、成長していく存在だと思います。
一方、人は、気づかせてくれる人を待っている存在でもあります。
その関係性を取りもつ方法が、コーチングです。
コーチングが成立するためには、いいコーチも必要ですが、いいコーチングを受け入れられる資質(コーチャブルというそうです)も必要です。
みんなも、教員も(もちろん私も含めて)、コーチャブルな人になりたいものですね。

〇呉兢『貞観政要』(守屋洋訳 ちくま学芸文庫 2015年)
唐の太宗が臣下と交わした問答を、歴史家である呉兢がまとめた。7世紀末の本です。臣下からの諫言(かんげん:忠告)を受け入れる皇帝とされる太宗が、おこなった有名な問いかけは、「草創与守成孰難」(草創と守成といずれか難き)。つまり、創成期と守成期のガバナンスは、どちらが難しいだろうか?です。わたしの関心は、太宗の心持ちにあります。ゼロから出発せざるを得ないからこその果敢な勇気と、経験と失敗を積むことで知ることができた現実へのおそれは、太宗のなかで、角逐し合いつつ、共存しているものだったのだろうと、感じた次第です。

〇エリック・シュミットほか『1兆ドルコーチ』(ダイヤモンド社 2019年)
書名は、この本の主人公のビル・キャンベルが、潰れかけていたアップルの再建や、スタートアップだったグーグルを助け、それぞれ時価総額数千億ドルの企業にしたことから由来している。しかもキャンベルは、元フットボールのコーチというキャリアで、シリコンバレーに飛び込んだのである。そのコーチングの内容と方法の特色はどのようなものか。企業経営者ではない私には、うまく言語化することはできない。が、感じたことは、組織はチームであり、コミュニティーであること。マネージャーの資質があり、コーチの資質があれば、よきリーダーになる資質がある。なぜなら、人に「自分は尊重されていて、チームワークの一端を担っている」と感じてもらうことができるから。

〇生島淳「コーチングとは『信じること』」(文藝春秋 2015年)
副題は、「エディー・ジョーンズとの対話」。エディは、2015年のラグビーワールドカップで、かつての優勝国(そして、4年後の日本大会優勝国でもある)南アフリカ相手に「世紀の番狂わせ」で勝利をもたらした日本のヘッドコーチである。日本大会では、one teamが日本のスローガンとなったが、4年前のEngland大会では、Japan wayだった。そこには、エディが、選手たちに「自分たちのプレースタイルで戦えば勝てるんだ」という信念を共有しようとしたtryがあった。鼓舞するコーチングは、ワールドカップでは「負け犬」(2011年大会までは、1勝21敗2分け)だった日本に、自信をもたらしていく手法だった。合理主義者であるエディは、「スタッツ(数字)」を重視したが、それは、「数学はサイエンスであり、あくまでもコーチングというアートをバックアップするからだ」という考えを持っていたからである。え?アート?そう!この本のキーワードは、「選手一人ひとりにとって何が必要なのか、それを見極めるのがコーチングにおけるアートである」です。

 

ところで、zoomで「読書プレゼン」。
わたしの計画では、まず、本校の生徒と。
次は、本校生ではない、興味のある小学生と中学生にも対象を広げて。
7日以降に、ゆっくりと、始めたいと思っています。

 校長  富士晴英

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