私は、評論家ではありません。
ですから、大学入試改革の「延期」をコメントできません。
嬉しかったこと。生徒たちと、たくさん雑談できたことです。
悲しかったこと。亡くなったかたと、もう話せないことです。
中村哲さん。
お会いしたこともありませんが、心配だけはしていました…
本校には、「筆まかせ」という、教員によるブックレビューがあります。
いつもは、ノリで書く私には、神妙なレビューです。
忘れません。
校長 富士晴英
中村哲 澤地久枝『人は愛するに足り、真心は信ずるに足る アフガンとの約束』
(2010年 岩波書店)
2019年12月4日、医師中村哲は、アフガニスタン東部の町、ジャララバードで銃撃され、死亡した。彼は、1984年以来、医療活動に加え、用水路を造ることで、この地域の厳しい生存条件の改善に努めてきた。こころざし半ばだった。同時に、彼の著書からは、彼がこの地で生をまっとうするであろうと考えていることも伝わっていた。
ブルカは、ハンセン病にかかっていても、町を自由に歩けるもの。現地の医者ならではの見方もこの本にはある。彼は、精神科医として、キャリアをスタートさせた。「患者は悩みをもってくるので、こちらが真剣に聞いているかどうかを敏感に察知するんですね。何か訴えたいことがあって精神科に来るわけですから、それをまともに受け止めてくれるかどうかを観察している。」先生と言われるべき人だったと思います。