もうすぐ師走。
ニュースでもこの一年を振り返る内容が増えてきますね。それにしても今年も多くの災害に見舞われてしまいました。
この夏の暑さも含めて命の危険を感じる災害が年々増えてきたように感じます。
ところで災害をテーマにした映画やドラマを観たことはありますか?
見ているときは嫌だなぁ怖いなぁという感想しか持たないかもしれませんが、その物語には実に興味深いメッセージが含まれていることが多くあります。
ここで話題にしたいのは、「災害に備えましょう!」などという当たり前の話ではありません。
少し別の視点から捉えてみたいと思います。
生き延びる人
災害のときには「自分の命を守る」ということに集中するべきなのはもちろん言うまでもありません。
状況に応じて「自分の頭で考えて」避難することは、あなたが生き延びるチャンスを増やします。先生なら正しい、消防隊なら正しい、マニュアルなら正しい、と人任せでいると判断の柔軟性を欠いてしまうでしょう。
さて、災害をテーマにした物語の主人公は、もちろん大抵の場合生き延びてエンディングをむかえます。でもその主人公がなぜ生き延びれたのか?という視点で見てみると、いくつかの共通点があると思います。
それらを以下の3つにまとめてみました。
① 人と違っている。マニュアルや既成の考えにとらわれていない。
マニュアルどおり、人にいわれたとおり、指図されたとおりにしか動けない脇役が登場します。想定外の事態のとき真っ先にパニックに陥って、そういうタイプの人が、生き延びれない場面が必ずといっていいほど描かれます。反対に主人公は「既成の枠組みから離れる力」を持っていたおかげで、他の人が気づかない生存方法を探り当てます。これは、ルールやマニュアルを軽視しろという意味でしょうか?いいえ、むしろルールやマニュアルは人間が決めたもの。だから過信するな、自然を甘く見るな、という戒めです。人間があらかじめ想定できることなど、たかが知れていると思えという教訓として読み取ることができます。
想定外の状況にすぐイラついたり、パニくる傾向の人は要注意。むしろ想定内の出来事ばかりの人生なんてツマラナイよね。普段から気持ちを大きく持って、想定外の事態に落ち着いて対応できる人になりたいですね。
② 自分だけ助かろうとしない。
自分だけ助かろうとする人が、たいていの場合助からないオチなのはなぜでしょう。自分の身を最優先に自分で守ろうとすることは、もちろん悪いことではありません。が、それでもあらゆる物語は「自分だけ助かろうとする」ことを良しとしないメッセージが含まれています。
おそらく、より多くの人が助かるように行動できる人=利他的な人は、人類が生き残るために不可欠な存在であり、そういう人物が多く含まれる社会集団ほど、全体として生き延びる確率が高まるのだ、ということを経験的に伝えているのでしょう。自分だけ逃げ得して助かろうとする人に向かって「あいつはロクな死に方しないぜ!」と吐き捨てるベタなシーンも、あながち大袈裟ではなく、先人からの大事な教えなのかもしれません。
③ あきらめない。
絶望的な状況になっても、やっぱり最後まであきらめないですね。生き延びる人は。あきらめないことは想像以上に難しいからこそ(私たちを励ます意味もこめて)何度も繰り返し語られる物語なのではないでしょうか。誰もがあきらめきった瞬間でも、まだ「他の道があるはずだ!」といって懸命にもがく姿に、人はどれだけ勇気付けられるか計り知れません。絶望を前にしても、そういう言葉を発することができる人こそが、真のリーダーなのだと思います。
高い防災意識を持つには、怯えずに災害に向き合う真剣さが不可欠です。恐怖に硬直したり、軽んじて笑い飛ばしたりするような弱さを乗りこえることが、あなたの命を救うことに繋がるでしょう。そしてみんなで生き残るためには、日頃から他者の存在を大切にし、自分の命が誰かによって守られ、自分も誰かを救える存在なんだ、という自覚が大切なのだと思います。
生徒支援部 渋谷