ことわざの話です。
There is no accounting for taste. (人の好みを説明することはできない)
これはいま「動名詞」を学習している高1生が必ず覚える例文です。人の好みは千差万別で理屈では説明しがたい、という意味ですが、高校生のカップルを見ていて、そう実感することがよくあります。日本語では差し詰め「蓼(たで)食う虫も好き好き」と言ったところでしょうが、実際に蓼科の植物の葉を噛んでみると、ヒリヒリと舌を刺激する強い苦みに顔をしかめながら、この諺を深く味わうことができます。
似たような諺に、Beauty is in the eye of the beholder. (美は見る者の目に映る)というのがあります。美しさは相対的なもので、見る人が美しいと思えばそうである、という意味ですが、こちらは今週の高3生の授業で取り上げた表現です。
しかし、そこはユーモア好きなアメリカ人。次のように茶化しています。
Beauty is in the eye of the beer holder. (美はビールをもつ者の目に映る)
お酒を飲むとどんな人でも綺麗に見えてしまう、ということでしょうか。私にはこちらの方が味わい深い至言です。
共学部高等部教頭・右田邦雄