女子部には、『あゆみ』という、毎年、3月3日の卒業式を間近にした時期に刊行される文集があります。
生徒の作文を中心に収録されていて、今年度で66号を数えます。
例年、冒頭、校長が寄稿することになっており、私は、その年度に図書委員会が定期的に発行している教員のブックレビューである「筆まかせ」に書いた短文を再録することにしています。
その文章を、お知らせします。
全体のボリュームの関係から、2回に分けました。
今回は、こういう寄稿にしたことの意図の説明です。
次回が、レビューです。
「身体表現と言語表現」 校長 富士晴英
「知的で開放的な広場」をつくろう。2年前の校長就任時、女子部および共学部の生徒・教員・保護者・卒業生に呼びかけた言葉です。この文章を読んでいるあなたは、この広場つくりに、どのように貢献できたでしょうか。せっかくの機会なので、振り返ってみてください。
私は、17年間女子校としての宝仙学園に奉職。その後8年間は共学部。
2年前から中学・高等学校の校長として勤務しています。
校長就任時、私は、女子部には「女子校文化」と「保育文化」が存在しているので、その特色に磨きをかけたいという趣旨のことを、発信していました。それから3年経とうとしている今も、その思いは変わりません。むしろ、体育祭での「ペルシャの市場」や宝仙祭でのミュージカルやダンス部等の舞台発表を見て、そして何よりも、毎月の全校朝礼での校歌斉唱を聞く度に、女子部生徒の良さを実感しています。それは、身体表現活動に積極的に取り組もうとする姿勢と、その結果としての成果といえると思います。
客観的に言えば、青春時代の充実感を見せてもらっているように感じています。
一方、この『あゆみ』は、言語表現活動です。こちらのよさは、上達の成長曲線が、身体能力とは別の軌道を描くことです。いや、年長者になってしまった者は、描くのではないかと思いたいのかもしれませんが。
昨年度から、女子部と共学部が一緒にできることは、積極的に協力し合っていこうという方針で進めてきました。図書委員会が編集する教員による読書エッセイである「筆まかせ」も、その一つです。ここでは、今年度書いた書評を再録しました。
みなさんのこれからの人生の試行錯誤へのエールとさせてください。