研修終盤のガイドをして下さっているのが、滞NZ歴30年を超えるチャコさん。ものすごい勉強家で博識です。道中教えてくださる話はどれも興味深く、歴史や地理からニュージーランドの食べ物、動植物の話、生活全般まで、どんなガイドブックにも載っていないものばかりです。
いま我々がいるハミルトンは酪農の中心地です。かつてはこの国には人間1人に対し、羊は20頭いましたが、最新の統計では1:6まで減ってきたそうです。代わって台頭してきたのが牛です。乳牛はもちろん、最近は肉牛のアンガス種が人気だとか。この地域は皆さんがニュージーランドと聞いてイメージする、羊の牧場そのままのような場所です。しかし、これらの土地は全て初期の開拓民によって森が開墾され、放牧に適した草の種が蒔かれ、今の姿になったと聞くと、俄かには信じられません。それ程、今では当たり前の風景だからです。
しかし、一歩森の中に入ると、未だに太古から守られた生態系を目にできます。ジュラ紀から生えていたというシダは葉を裏返すと銀色に光り、森の道標になります。マオリの人たちが移り住むまでは哺乳類がおらず、野鳥の楽園だったこの島国の象徴が、飛べない鳥のキウィです。
白人の入植以来、この国を今ある姿に変えたのも人間ですが、持ち込まれた動植物により、キウィも絶滅寸前に追い込まれるなど大きく生態系が崩れてしまったのも事実です。今、必死にその回復と維持に取り組んでいるニュージーランドは試行錯誤を繰り返す、壮大な実験室のようだと、感じました。
スマホをいじるのに夢中な生徒の隣で、チャコさんの話を興味深そうに聴く生徒も少なからずおり、頼もしく思います。自分が身を置いている環境や周りの人たちのことに興味を持ち、知リたいと思う気持ちは生きる力、そのものだからです。
この二週間で生徒たちのココロに蒔かれたいろんな種が、きっと芽を出してくれると期待しています。
こんな所、そうそう来れないぞ。
大切なこと。好奇心なくして成長なし。
君たち、いい体験したね。
だんだん校長ブログみたいになってきたので、この辺で終わりにします。留守宅の保護者の皆さん、お約束通り、少し逞しくなった姿を明日にはお見せできると思います。ご愛読ありがとうございました。
(共学部高等部 教頭 右田 邦雄)